Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
高齢ウサギにおける誤嚥性肺炎の実験モデルを確立するため,ドーパミンレセプター阻害剤を高齢ウサギに投与し,嚥下反射と咳反射の維持に必須でドーパミンによる分泌調整を受けているサブスタンスPの分泌を抑制させて誤嚥性肺炎を惹起させた.このとき,ウサギに与える粘着性の軟食餌の稠度を前年度よりも増すことで,誤嚥性肺炎の発症頻度を高めることができた.なお,ウサギにおける嚥下反射および咳反射の評価はヒトの臨床検査に準じ,嚥下反射については潜時を,咳反射については咳を生じるクエン酸濃度の閾値を,肺炎の診断については呼吸音,胸部X線写真撮影,血液検査,および喀痰培養検査を,それぞれ評価することができた. 一方,まず前年度に確立した方法で,Streptococcus sanguis, Streptococcus salivarius, Fusobacterium nucleatum, Staphylococcus aureusなどの高齢者の誤嚥性肺炎からしばしば分離される口腔内常在細菌と日和見感染細菌に対する特異的唾液SIgAを高齢ウサギに誘導できた.このとき,誘導された特異的な唾液SIgAおよび血清IgGの量をELISA法で,菌体の排除に最も強く関係する凝集活性を直接凝集反応で,それぞれ測定してモニターしたところ,経日的な抗体量の上昇が認められた.次いで,上記の菌群の生菌を多量に播種した場合でも,口腔内常在細菌に対する唾液SIgAによって誤嚥性肺炎の発症が抑制されることを明らかになった.このとき,経日的にウサギ口腔内から細菌を採取して菌数測定することでも,上記の菌群の抑制効果が確認できた. これらの結果から,本研究は,粘膜免疫系を応用した要介護高齢者の誤嚥性肺炎の新しい予防法の確立に大きく貢献できることが分かった.
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