Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
接着性レジンセメント(以後,セメント)を窩洞適合性の低い審美性間接修復物に応用した場合,露出したセメントライン表層の酸素による未重合層が予後に影響することが指摘されており,セメントの重合性の向上が望まれている。そこで,酸素遮断効果の異なるフィルムの貼付が,セメント表層の機械的性質におよぼす影響について,歯ブラシ摩耗試験により検討を加えた。 供試セメントは,コンポジット系のPANAVIA Fluoro Cement(クラレ),Bistite II(トクヤマ),RelyX ARC(3M),Chemi Ace II(サンメディカル),MMA系のSuper-Bond C&B(サンメディカル)およびMulti Bond(トクヤマ)を,供試フィルムは,Techbarrier(Mitsubishi),Harder(Toyobo),低密度ポリエチレンフィルム(Toyobo)を使用した。 歯ブラシ摩耗試験用試片の製作には,内径11mm,高さ4mmの円筒形ビニル型を使用し,ヌープ硬さ試験と同様の条件で硬化させた。試験に先立ち試片の重量を秤量し,次いで,この試片を歯ブラシ磨耗試験器に固定し,その填塞面を炭酸カルシウム飽和溶液中で荷重5N,ストローク幅50mmの条件で10,000回の摩耗試験を行なった。試験終了後,試片を超音波洗浄し,真空デシケーター内で24時間減圧乾燥した後,その重量を測定し,試験前の重量との差から減少率を求め,ブラシ摩耗率とした。また,試験終了後の試片の表面についてSEM観察を行った。 その結果, 1.酸素遮断性の高いフィルムの使用により,コンポジット系セメント表面の摩耗率は減少したが,MMA系セメントでは変化が認められなかった。 2.SEM観察の結果,コンポジット系セメントでは,フィルムの酸素透過性により異なる表面性状を示したが,MMA系セメントでは変化が認められなかった。 以上より,レジンセメント硬化時の酸素遮断性の高いフィルムの貼付は,レジンセメントの種類によっては,硬化物表層の重合率および耐摩耗性を向上させる効果があることが判明した。
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