Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
変形を伴う顎関節症については病的変化によるものか、加齢による変化なのか不明な点が多い。これまでに加齢による下顎頭の変化を明確にする目的で、系統解剖実習用遺体より摘出した下顎頭を用い、形態分類と骨変化の有無について検討し報告した。対象は本学解剖学教室が保存している系統解剖実習用遺体で男性87体、女性101体、計188体(376関節)である。年齢は48歳〜107歳までの平均76.8歳であった。摘出された下顎頭を肉眼にて観察し、前頭面観をYaleの分類に従い、convex、flat、angled、roundにconcaveを加え分類した。さらに、矢状面観についても観察しconcavity、osteophyte、flatteningといった関節機能面の形態上の変化の有無について検討した。下顎頭前頭面観をYaleに従い分類してみると、72.9%(274関節)がconvex typeであった。関節機能面の変化はflatteningが13.0%(49関節)、concavityは23.1%(87関節)、osteophyte4.2%(16関節)にみられた。concavityは男性27.0%(47関節)、女性20.8%(42関節)と大きな性差は認められなかったが、flatteningは男性6.3%(11関節)、女性18.8%(38関節)と性差が見られた。著しい骨変化が認められたものについては現在も継続して組織切片作成中である。