Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
根管治療を行った歯は,行っていない歯に比べて高頻度で抜歯される。根管治療を出来るだけ行わないことは,歯の延命につながる。日本における大規模な根管治療の疫学研究は少ない。そこで本研究の目的は,日本人成人の慢性根尖性歯周炎と根管治療の分布や重傷度の把握および評価を,評価指標Periapical Index (PAI)を用いて行うことを目的とした。 1998年6月〜1999年5月の1年間に岡山大学歯学部附属病院を受診し,全顎的に口内法レントゲン撮影を行った20歳以上の初診患者522名を対象とした。対象歯は第3大臼歯を除外した。診査項目では8本以上残存する歯牙のPAIのほかに,根管充填の状態を適正,不足,過剰,根管充填剤なしと分類した。1名の歯科医師が判定し,3ヶ月以上経過後の検者内のκ値は0.83であった。 結果 対象者の約90%は根管充填歯を保有し,その保有者の約75%の者が根尖病巣(PAI3以上)を保有していた。歯単位でみると,調査対象歯は12,520本でそのうちの3,007本(約24%)は根管充填歯であった。根管充填歯のうち1,324本(約44%)に根尖病巣(PAI3以上)があった。 根尖病巣を独立変数とし,年齢・性別・根管充填歯数・全身疾患・根管充填状態・歯種を従属変数として2項ロジスティック回帰分析を行った。その結果,根管充填状態および歯種の因子と相関が強いことがわかった。根管充填が過剰の場合,適正なものより約11倍の根尖病巣を示していた。最も根尖病巣率が小さかったのは下顎第1小臼歯で,病巣率の高いのは下顎切歯,下顎側切歯,上顎側切歯の順であった。 また年齢・性別・全身疾患などの因子に関係なく4人に3人は根尖病巣を保有し,特に切歯・側切歯は病巣をつくりやすいことが分かった。 諸外国と比較すると、根管充填歯は非常に多かったが,根尖病巣率は他の国のデータと大きくは違わなかった。
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