Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
前年度でin vitroの系として、アテロコラーゲンを使用した各種細胞の培養とその評価を行い、UMR106(ラット骨芽細胞)、歯根膜細胞ともにアテロコラーゲンとPRP併用群で有意に石灰化がみられた。本年度は、さらにその結果をふまえ、in vivoの系として、5週齢近交系ラット(Lewis系)頭頂骨に直径約8mmの円形欠損を作成し、培養細胞とコーケンインテグラン【○!R】(アテロコラーゲンシート)を組み合わせたシートを移植した。すなわち、実験群としてインテグラン+骨芽細胞+PRP、インテグラン+歯根膜細胞+PRP、インテグラン+骨芽細胞、インテグラン+歯根膜細胞、対照群としてインテグランのみという5種で行った。なお、骨芽細胞はラットより初代培養したものを用いた。移植後5週で屠殺し、灌流固定ののちに通法に従い脱灰、パラフィン包埋し、組織切片を作成し、評価に用いた。組織学的観察では、インテグラン+骨芽細胞+PRPを組み合わせたシートを移植した群において、一部に骨形成像を認めた。骨形成部周囲には骨芽細胞様細胞が集積していた。また、同様にインテグラン+骨芽細胞群においても一部に骨形成像を認め、PRPの存在によって石灰化量に変化はなかった。また、歯根膜細胞とインテグランを組み合わせた群においては、PRPの有無にかかわらず骨形成像、石灰化像ともに認められなかった。酵素組織化学用に凍結切片を作成し、アルカリフォスファターゼ(ALP)にて染色も行ったが、骨芽細胞とインテグランを組み合わせた群と歯根膜とインテグランを組み合わせた群と比較すると、前者のほうが明らかにALP染色の範囲、濃度ともに高かった。