薬物依存時の情動反応における扁桃体の役割に関する研究
Project/Area Number |
14771282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (30303845)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 薬物依存 / モルヒネ / 情動反応 / 扁桃体中心核 / extended amygdala / 分界条床核 / グルタミン酸 / コルチコトロピン放出ホルモン / 扁桃体 / 不快な精神症状 / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
扁桃体中心核(CeA)は、分界条床核(BNST)などとともにextended amygdalaと呼ばれる前脳基底部の領域に含まれ、薬物依存に関与していることが示唆されている。本年度は、このCeA-BNST間の神経ネットワークに着目した検討を行った。 まず、モルヒネ禁断によって惹起される条件付け場所嫌悪反応(CPA)は、CeAあるいはBNSTを損傷しておくことにより、どちらも有意に減弱された。また、モルヒネ禁断により誘導されるBNSTでのc-Fos陽性細胞の数は、CeAの損傷により有意に減少したのに対し、CeAでのc-Fos陽性細胞数は、BNSTの損傷によっても変化は見られなかった。さらに、BNSTに逆行性標識物質を注入することによりCeAにおいて逆行性標識された神経の約半数以上が、モルヒネ禁断後に、抗c-Fos抗体によって二重標識された。また、in vivoマイクロダイアリシス法により、モルヒネ禁断時にCeAにおいて細胞外グルタミン酸濃度の上昇が認められたが、BNSTにおいては、変化は見られなかった。さらに、BNSTから逆行性に標識されたCeAの神経の多くが抗コルチコトロピン放出ホルモン(CRF)抗体により二重標識されることを確認し、また、抗c-Fos抗体と抗CRF抗体を用いた蛍光二重免疫染色により、モルヒネ禁断時のCeAにおけるCRF陽性細胞の多くが、c-Fos陽性であることを見いだした。さらに、CRF受容体アンタゴニストであるα-helical CRF(9-41)を両側BNST内へ微量投与したところ、CPAは有意に減弱された。 これらの結果より、CeAからBNSTへ投射する神経の活性化がモルヒネ禁断による条件付け場所嫌悪反応(不快な精神症状)を惹起させること、またその神経の少なくとも一部はCRFを伝達物質としていることが示唆される。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)