Research Abstract |
【研究目的】全身清拭において蒸しタオル清拭もしくは石鹸清拭を行う際に,介助方法(全介助,半介助,自力)の違いにより生じる生体負担の差を,エネルギー代謝量,皮膚温,鼓膜温,血圧,心拍数を用いて明らかにすることを目的に,平成15年度は「半介助の蒸しタオル清拭」,「半介助の石鹸清拭」,「介助なしですべてを被験者が自力で行う蒸しタオル清拭」の3つの方法のデータ収集を行った. 【研究方法】健康な女子8名を対象に,各清拭方法とも清拭実施前,清拭終了直後,および終了後から20分経過した時点に各項目を測定した.自力および半介助で行う清拭方法では,対象者自らが行う部分は対象者が好む方法で実施し,終了後にその手順を記述してもらった.一方,介助を行う部分の手技は統一した.分析は,前年度行った全介助での蒸しタオル清拭および石鹸清拭と,今年度行った3つの方法の全5方法について,清拭時間の比較,およびエネルギー代謝量,皮膚温,鼓膜温,血圧,心拍数それぞれを(1)蒸しタオル清拭における3つの介助法(全介助,半介助,自力)(2)石鹸清拭における2つの介助法(全介助,半介助),(3)全介助での石鹸清拭と蒸しタオル清拭(4)半介助での石鹸清拭と蒸しタオル清拭の4つの観点で平均値比較した. 【結果】清拭時間の比較では,清拭方法間に有意差が見られ(F(4,35)=193.24,p<0.001),多重比較検定の結果,全介助の石鹸清拭が最も時間が長くかかり,ついで半介助の石鹸清拭,半介助の蒸しタオル清拭,全介助の蒸しタオル清拭,自力の蒸しタオル清拭の順であった.各測定項目の平均値比較では,上記(1)(3)の皮膚温,(2)(4)の代謝量の変化で清拭方法と経過時間の交互作用が認められた.清拭方法の主効果は(1)の鼓膜温,(2)(3)(4)の収縮期血圧,(2)の拡張期血圧で認められ,経過時間の主効果は(1)の鼓膜温,(2)の拡張期血圧,皮膚温,(4)の皮膚温で認められた.
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