Research Abstract |
訪問看護ステーション等から紹介され,同意を得た要介護高齢者(以下,高齢者)(脱水既往者7名含む)27名とその介護者を対象に,夏期の水分出納と介護者の飲水援助実態を調査した.高齢者は平均年齢81歳,男性15名,女性12名,要介護度3〜5,介護者の続柄は,配偶者17名,娘4名,嫁4名,その他2名,平均年齢65.1歳であった.計測・記入を要する本分出納調査は,それらが可能な24名の介護者を対象とした. 高齢者の水分総摂取量の平均は,1,942±658(食事中832,飲水1017,燃焼水100)ml,水分総排泄量1,941±658(尿量1,250蒸泄718.7)mlであった. 脱水既往の有無で比較すると,水分総摂取量(体重1kgあたりの摂取量)に有意差はないものの,「既往あり」1,545ml(38ml/kg)が「既往なし」2,103ml(45ml/kg)よりも少ない傾向にあった(p<0.1).飲水回数はいずれも6回だが,「既往あり」では一回量がやや少なめであった.また,「既往あり」が高齢で,食事摂取カロリーが低く,食事中水分摂取量も少なかった(p<.05). 介護状況では,「既往あり」の介護年数が有意に短く(p<.05),飲水援助実態では,「既往あり」が,必要な水分補給目安量を少なめに見積もっていた(p<.05).これらより,介護が軌道にのるまでの期間は,個々に応じた目安量を繰り返し指導し,必要量の確保に努めることが重要であると思われた. さらに,既往あり7名について,一度の発症で再発が予防できている4事例と再発を繰り返す3事例を比較すると,前者では,脱水症の原因を理解し,症状の早期発見に努めている,飲用水や容器の種類,調理形態に工夫がある,日中も介護者が家に滞在していることが特徴的で,後者では,高齢者の年齢が高く,水分・食事摂取に時間を要する,介護肴の年齢が若いことなどが明らかになった.
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