Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
日本の社会の中で生きている人々には、日本文化の弱点がなかなか見えてこないものである。特に、日本人は、ジャパニーズ・ディアスポラ或いはJapanese minorityに対しての心構えが、意識的あるいは無意識であるに関わらず「排他的」になっている。例えば、Chong Hyang Gyun氏が日本で生まれた在日韓国人という理由で、東京都は氏の公務員としての昇進を拒否してきた。それに対し、2005年1月最高裁は東京都の氏に対する処遇は合憲という判決を下した(Japan Times,27 January 2005)。この判決は、多くのJapanese minority・Japanese Diasporasに多大な影響を与えた。日本社会全体がいかに「血統」を重視してきたかということが明らかになったと言える。そのような日本の古い風習が現代国際社会と衝突しているが、悲しいことに、それが日本国内にいる日本人には何も解っていないようだである。結局、政治から司法まで現代国際社会の歴史的な潮流に背を向けている。このような状態では、果たしていつ日本は「国際化」されるのか多いに疑問である。ジャパニーズ・ディアスポラたちも同じように日本社会からの「偏見」・「差別」(学校から職場まで)を感じている。しかし現地の日本人たちはあまり「排他」されていると認識していなようだ。帰国したジャパニーズ・ディアスポラたちの教育も生活も日本政府から十分に援助されていないのが現状である。例えば、日本語教育も1年以上は受けられず、生活保護を受けられる期間も限られている。その結果、また日本語が十分話せないジャパニーズ・ディアスポラたちが、生活保護も受けられない状態で、生活するために「偏見」・「差別」に満ちた日本社会で生きなければならない。帰国後2年以上経過したジャパニーズ・ディアスポラに対しては、政府からの援助がすべて切られて、その後生活から教育まで全てVolunteerに任せきりとなっているのが現状である。過去の日本の国策で強制的に移民させられたジャパニーズ・ディアスポラが、現在世界第二の経済大国である日本の政府でさえも、一切新たな対応策も出そうとはしないし、完全に「棄民」として扱われている。