Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
(1)セスキカーボネート(Na2CO3・NaHCO3)水溶液への浸漬による脱塩実験(2)オートクレーブによる高温高圧状態での脱塩実験(3)アルカリイオン電解水への浸漬による脱塩実験(4)トルマリンを用いたアルカリイオン活性水への浸漬による脱塩実験(5)オートクレーブによりトルマリンに加圧ならびに加温による脱塩実験上記5種類の方法で考古資料に見られる金・銀・銅・青銅・木質のサンプルならびに刀などの鍛造品や鍋などの鋳造品、金銅装や象嵌資料、木質等の有機質の付着する資料などに対して以下の点に注目し、引き続き脱塩実験を行った。A.それぞれのサンプルを単体や組み合わせて各脱塩液に浸漬し色調の変化など影響の有無について。B.経過観察を行い脱塩処理の有効性について。オートクレーブによる脱塩では一定の脱塩効果が認められる。ただし遺物の劣化状況や有機質が付着していると遺物を損傷する危険性がある。またトルマリンの有無による効果の違いについて今回は確認できなかった。他の方法でも常温より加温、常圧より加圧の場合に脱塩促進効果が得られると考えられるが、変色や崩壊の危険性が高くなるため一定以上の効果は期待できない。今後も実験を継続してより効果的で安全性の高い脱塩処理法の確立を目指したい。