Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,ネットワーク中のノードを自律的に巡回し,情報収集や配布などさまざまな目的に利用されるモバイルエージェント(以下,たんにエージェント)の巡回方法に関する研究を行った.エージェントを利用した通信方式は,アドホックネットワークなど特にネットワーク形状の変化が頻繁な(動的)ネットワークに適している. その一方で,動的ネットワーク上でエージェントを巡回させるためには,以下の問題点を解決する必要がある. 1.ネットワーク全体の初期化が不可能 2.エージェントを効率よく巡回させるネットワーク構造の維持 3.ノードや通信リンクの消滅によるエージェントの消滅時の対応 本研究では,これらの問題点を解決すべく,自己安定プロトコルによるエージェント巡回方式を提案した.自己安定プロトコルは,任意の初期状況からはじめてもやがて正しく解を求めることが可能で,そのためネットワーク全体の初期化が必要なく,また任意の一時故障に耐性を持つなど,非常に優れた性質を持つ. まず,上記問題点2.のために,動的ネットワーク上で木構造を構成し,かつネットワークノードやリンクの消滅・出現が生じても,その木構造の変化を最小限にとどめる自己安定プロトコルを提案した.既知の結果に比べ,対応できる故障(リンクの消滅)の範囲が広いという意味で,有意義な結果である. さらに,問題点3.のために,動的ネットワーク上で巡回するエージェントがノード故障により消滅した場合,消滅直前の状態を保ちながらすばやく(定数時間で)復活させる自己安定プロトコルを提案した.提案プロトコルは,集中制御機構を用いず分散的に解決しており,エージェント消滅時にも消滅直前の状態から通信を再開できるため,ネットワークの変化に強く,かつエージェントを用いた通信アプリケーションによつて効率よく情報のやり取りが可能になる.
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