Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
海洋の溶存有機物は,その構成元素の一つである溶存有機炭素の量が大気中の二酸化炭素量に匹敵することから,地球上で屈指の巨大炭素プールの一つとみなせる.従って,その定性・定量的な把握と,生産・消費過程を理解することは,海洋のみならず全球規模で炭素循環を理解する上で重要である.本研究では,定性分析の対象として報告例が比較的少ない核酸成分に着目し,中でも特にデータが少ない一重鎖DNAとヌクレオチドについて測定法の開発と検討を試みた。その結果,一重鎖DNAについては,OliGreen ssDNA試薬を用いることで,タンパク質などの影響を受けずに0.1μg/lレベルで検出・定量できることを確認した。また,HPLCによりデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの同時定量が可能となった。ヌクレオチドと類似の測定条件によるビタミン類の定量にも既に着手しており,今後は微量の海水試料から複数の化合物を同時に定量することを可能にするべく,測定法をさらに改良する予定である。また,深層における溶存有機物の生産と消費過程を理解するために,深層水中のバクテリア,ナノ鞭毛虫,繊毛虫,藍藻といった微生物群集の現存量の日周〜年周ダイナミクスを調べた。その結果,駿河湾ではナノ鞭毛虫や繊毛虫の細胞数を上回る藍藻が昼夜を問わず有光層下に存在することが明らかになった。本年度は,化学的定量と生物学的定量の融合に至らなかったが,今後,深層に存在する藍藻の生理状態や炭素循環への役割について調査すると共に,回転時間が比較的短いと考えられる核酸成分やビタミン類の分析を通して,海洋深層水中の有機化合物と微生物代謝の役割について研究成果をまとめる予定である。尚,現在,溶存有機炭素の分布と動態に関する論文2本をJournal of Geophysical Research誌とDeep-Sea Research I誌に投稿中である。
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