新規蛋白質濃度感受性蛍光蛋白質を用いた分化と蛋白質濃度の関係の解明
Project/Area Number |
14J01600
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森川 高光 大阪大学, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Project Status |
Adopted (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥2,170,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 蛍光蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
①蛋白質混雑と未分化維持、分化の関係の解明 はじめに、GimRETを定常発現するES細胞の確立を試みた。作製にはレンチウイルスを用いることにした。しかし、GimRETを定常発現するES細胞は、培養開始後2週間でGimRETを発現しなくなった。これは、ES細胞では、遺伝子のサイレンシングが起こりやすいためであると考えられる。そのため、GimRETを一過性発現したES細胞をサンプルとして用いることにした。 蛋白質混雑ごとにES細胞を分け、遺伝子発現を調べた。フローサイトメーターを用いて、蛋白質混雑が高い、低いで分けたES細胞の遺伝子発現を、RT-PCRを用いて調べた。結果、GimRETの蛍光強度比の高い細胞、低い細胞の間に、未分化維持に関係する遺伝子発現の差は見られなかった。 ②分化によるクロマチン構造の変化の検出 インキュベータ付き二光子顕微鏡は、理化学研究所生命システム研究センター先端バイオイメージング研究チームにおいて、オリンパスとの共同開発により開発されたものを用いることにした。インキュベータ付き2光子顕微鏡を用いることで、GimRETを発現させたES細胞を96時間以上観察することに成功した。 GimRET-H2Bを定常発現するES細胞の作製を試みたが、上記理由で、一過性発現を用いることにした。GimRET-H2Bが機能することを確認するために、一過性発現用のプラスミドを構築した。そちらをES細胞に遺伝子導入してみると、核内に局在しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、ES細胞を用いた実験以外の基盤となる技術の構築に従事し、予想通り、あるいはそれ以上の進展があった。 一方で、ES細胞という、一般的に生物学の実験で用いられている細胞と異なる性質の細胞を扱うのに苦労した。例えば、①蛋白質混雑と未分化維持、分化の関係の解明の実験系において、定常発現株で簡単にサイレンシングが起きてしまうことや、また、②分化によるクロマチン構造の変化の検出の実験系において、GimRET-H2Bは、HeLa細胞では核に局在するが、ES細胞では局在しないことなどがあげられる。さらに加えて、フローサイトメーターを用いて分離したES細胞は、ほぼすべて死滅しており、さらなる条件検討が必要であると考えている。しかし、定常発現でなく一過性発現を用いて実験系を組みなおしたり、他のクロマチン蛋白質と組み合わせたGimRETを構築したりなど、申請した実験系を順次組み直し、問題点に関しては解決案をきちんと考え、本来の予定と同程度に進展できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①蛋白質混雑と未分化維持、分化の関係の解明 昨年度の結果では、GimRETの蛍光強度比の高い細胞、低い細胞の間に、未分化維持に関係する遺伝子発現の差は見られなかった。GimRETの蛍光強度比が高いか低いかで分けただけだったため、明確な違いがなかったのではないかと考えている。なので、蛍光強度比によって3~5段階に分けて、同様の実験を行う予定である。 ②分化によるクロマチン構造の変化の検出 HeLa細胞において発現させたGimRET-H2Bを観察したところ、核内のGimRETの蛍光強度比は一定であった。理由としては、H2Bがヌクレオソームに取り込まれていないためではないかと考えられる。また、GimRET-H2BをES細胞で発現させた際には、核内に局在しなかった(図2b)。GimRETを融合したため、H2Bが本来の働きを行えなかったのではないかと考えられる。今後の予定としては、H2B以外のヌクレオソームに取り込まれるような蛋白質、例えば、ヒストンH4などにGimRETを融合し、ES細胞で発現させ、分化誘導を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)