Budget Amount *help |
¥4,084,926 (Direct Cost: ¥3,142,251、Indirect Cost: ¥942,675)
Fiscal Year 2016: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,094,926 (Direct Cost: ¥842,251、Indirect Cost: ¥252,675)
Fiscal Year 2014: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ネパールにおいて食肉が市場化されることに伴う独自の行動規範や共同性の創出過程を、カーストに基づく役割として供犠と肉売りを担ってきたカドギのケーススタディを通して、①歴史軸、②空間軸で統合的に実証していくことであった。 研究方法として、対象を取り巻く①時間軸、②空間軸での動態を、文献調査、現地調査、理論的検討で明らかにした。 ①時間軸からの分析として、統計資料やこれまで実施したライフヒストリー調査に基づき、ネパールの食肉市場の形成過程を、カースト制度や民族範疇に関する政治的動向と対照させながら分析した。この結果、これまで優遇政策をめぐるアイデンティティ・ポリティクスとして描かれがちであったカーストの表象を、市場での食肉をとりまく実践、なかでも家族経営の要として経済活動を担う女性の実践から捉え返すことができた。 ②空間軸からの分析として、食肉がカーストや民族、宗教や時に国境を超えて流通するようになったことを受けて、食肉に関するアクター間のネットワークがどのように構築されるかを分析した。この成果として、宗教を超えたムスリムとヒンドゥーのカドギの提携のあり方、食肉市場におけるムスリム、カドギ、その他民族やカーストのすみわけの様相があきらかになった。 ①の成果を国際出版物Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Lifeに掲載した。②の成果は国内シンポジウムや研究会などで口頭発表を行い、その一部は論文集に掲載されている。さらに、本研究全体の集大成として単著『ネパールでカーストを生きぬく』を出版した。
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