アルゼンチンの民俗学者カルロス・ベガの思想に関する文化史的観点からの研究
Project/Area Number |
14J04588
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 健太 名古屋大学, 国際開発研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | アルゼンチン / ナショナリズム / 思想史 / 民俗学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な研究実績は下記の2点である。
(1) 19世紀のアルゼンチンにおいて、スペイン王立アカデミーの「イスパノアメリカ支部創設計画」に対する賛否をめぐって展開された「国語論争」に焦点を当て、そのなかで描かれていた「アルゼンチン文化」像の諸相を浮き彫りにした。この論争は、既存のスペイン語をありのままの形で保存すべきと唱えた「純粋主義」と、アルゼンチン固有の言語を形成すべきと唱えた「新国語形成論」との間で展開された論争として捉えられることが多かった。本研究では、こうした通念的解釈の不備を指摘し、より正確な対立軸(「権威主義」対「民衆主義」等)の存在を提示することによって、この論争の思想史上の意義を問い直した。本研究の成果は日本イスパニヤ学会の機関紙(『イスパニカ』)に投稿した。
(2) 20世紀中葉のアルゼンチンで活動したカルロス・ベガという民俗学者に焦点を当て、彼の研究・言論活動のなかで提示されていた「アルゼンチン文化」像の特質として、以下の点を明らかにした。①ベガの研究は、従来のアルゼンチン民俗学にみられたようなナショナリズム的動機に基づくものだったとは言いがたい。少なくとも、「アルゼンチン文化」がいかなる民族的要素(欧州性/スペイン性/先住民性)によって構成されるべきかという問題に関して、彼は確固たる思想を持っていなかった。ベガが研究対象(音楽・舞踊)の選別をおこなった際、その選別の基準はひとえに理論・方法上の制約であり、彼自身の国民文化観などではなかった。②むしろ、ベガは自らが国民文化観を欠いていたからこそ、従来の欧化論/ナショナリズムという二項対立に囚われることなく、欧州性と土着性、近代性と伝統性とを同時に包含するような新しい「アルゼンチン文化」像を提示することができたのだった。本研究の成果は、ラテンアメリカ民俗学会議(於:ブエノスアイレス)等の場で発表した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)