Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでに報告した通り、AIR1を標的とする低分子化合物KN69が、自己免疫性疾患マウスモデルにおいて病態抑制効果を持つこと、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス患者由来血清中に健常人と比較して多量のAIR1が含まれることが明らかとなっており、AIR1の自己免疫性疾患の病態形成への寄与が強く示唆される。しかしながら、生体内において細胞死や傷害などに伴ってDamage-associated molecular pattern(DAMPs)として放出をされたRNAは、自身の不安定性と各種RNaseによる分解によって速やかに分解すると考えられており、AIR1が免疫刺激活性を発揮する際には何らかの機構で安定化する必要があると考えられる。そこでDAMPsとしてのAIR1の免疫刺激活性発揮機序に関して検討を加えた。近年、ヒトカテリシジンLL-37やβディフェンシンは、全身性エリテマドーデスとの関連も報告されている。そこでこれら抗菌ペプチドの関与を検証した。その結果、in vitroにおいてこれら抗菌ペプチドとAIR1が複合体を形成し、これら複合体が免疫刺激活性を有することが明らかとなった。抗菌ペプチドとAIR1がNETsの形成に伴ってDAMPsとして放出される可能性について検証するため、NETs培養上清中のAIR1量を、定量的PCR法を用いて定量した。NETs中にAIR1が含まれることが明らかとなり、また同時にToll様受容体7(TLR7)シグナルの下流でルシフェレース発現する細胞を用いたルシフェレースアッセイを行いNETsに含まれるRNAの免疫刺激活性を定量した。その結果NETsが既報の通りDNAを認識するTLR9活性化能を持つとともに、TLR7活性化能を有することが明らかとなった。これらの検討により、KN69の標的であるAIR1がDAMPsとして機能しうることが示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。