アメリカ合衆国の「公的記憶」における人種言説と北欧系移民の自己形成
Project/Area Number |
14J06227
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
鈴木 俊弘 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
|
Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2016: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2015: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 第2次世界大戦 / アメリカ社会 / 移民史研究 / ホワイトネス研究 / 人種主義研究 / 冬戦争 / Finnish Relief Fund / エスニシティ論 / 20世紀アメリカ / アメリカ文化論 / モダニズム / Marsden Hartley / アメリカ美術史 / アメリカ移民史 / アメリカ社会文化史 / エスニシティ研究 / スウェーデン系移民 / フィン系移民 / 祝祭・記念運動 / 人種主義 / アメリカ:スウェーデン:フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次大戦と米社会の最初の接点は、欧州戦災国の支援基金運動であった。1939年秋より全州規模で展開する基金運動は、同年末までに240団体以上が登録されており、総力戦前夜の米世論形成の過程を考察する重要な分析対象である。 報告者は、これら基金運動で最大級の成果を上げた組織が、フィランソロピー組織でも政府組織でもない「フィンランド救援基金」(Finnish Relief Fund)であった事実に着目し、平成28年度の研究主題に据えた。それは第一次ソ連=フィンランド戦争(冬戦争)の勃発直後から3ヶ月余で350万ドル超の募金を全米の多彩な階層から集めた。 報告者は、第二次大戦期における戦災支援基金運動の多くが、米国移民による移民出身国への支援活動であった点を重視した。そこに浮上するのは、移民のナショナル・オリジンに対し、米国民に「同情」の軽重を判断させた要因の存在である。報告者は「フィンランド救援基金」の史料分析を国際支援運動の枠組みではなく、米社会のフィン系移民の地位向上運動の枠組みから着手した。 平成28年度に収集したスタンフォード大学所蔵の文書「Finnish Relief Fund Records, 1939-1947」の分析によって、17世紀の北米植民地を記念する祝祭遂行のために全米各地で結成されたフィン系移民の祝祭組織が、「フィンランド救援基金」の中核として支援運動を継続していた点が判明した。この支援運動のなかで常に強調されたのが、「フィン人は米国の建国に寄与した最良の白人入植者の子孫」という人種論的アピールであり、戦災は白人種の危機と表象された。すなわち戦災支援基金運動とは、20世紀初頭の米社会で欧州の移民集団が訴え続けた「白人エスニック」としての承認請願の変奏であり、1930年代から40年代には払拭されたはずの「人種階梯論」の「第二次大戦期的な表出方法」でもあった。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(3 results)
Research Products
(6 results)