Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2015: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2014: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでに行ってきた圃場実験のデータ解析および, そこで見られた挙動について実験室内で再現実験を行うことによって, 環境中のモエジマシダ内で起きているヒ素の挙動について詳細な検討を行った. 圃場実験では, 仙台市内において約6ヶ月の栽培試験を2箇所で行った. また, 熱帯・亜熱帯性植物であるモエジマシダと比較のため, 東北地方で自生しヒ素蓄積能を持つイノモトソウも合わせて圃場で栽培試験を行った. 実験開始前の圃場土壌中の水溶性ヒ素濃度は2箇所ともに環境基準に近い値であったが, 栽培試験後では大幅に水溶性ヒ素濃度が低下していた. 従って, モエジマシダの植え付けにより, 人体に対する健康リスクの高い土壌中の水溶性ヒ素濃度を低減可能であることが示された. また, 同じイノモトソウ属でもモエジマシダとイノモトソウでは若干異なるヒ素蓄積・輸送システムを有している可能性が示唆された. また, 最終的なヒ素の蓄積部位の微小領域の観察を目的として, EPMAを用いたモエジマシダ薄層切片中のヒ素局在性の検討を行った. モエジマシダをヒ素を含む培地で生育し, ヒ素濃度30,000 mg/kgから3,000 mg/kgの3種類の試料を調製し, それぞれ5 mm厚の薄層切片を作成してHE染色を行った試料の観察を行うと, ヒ素濃度に応じた植物体への詳細な損傷状況が確認され, さらにその細胞へのダメージは葉先から葉の中心部にかけて勾配があることが判明した. 以上より, 前年度の研究結果も合わせ, ラボスケールだけでなく実際の環境下においてもモエジマシダ内のヒ素の詳細な挙動を明らかにし, それに伴うモエジマシダ体内でのヒ素の輸送ダイナミクス, 化学形態の変化および酸化還元部位を初めて明らかにし, 最終的なヒ素の蓄積がもたらすモエジマシダ細胞への損傷について詳細な知見を得た.
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