Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の目的は、「スペックルを利用したX線溶液散乱法」というアイデアをもとにX線自由電子レーザー(XFEL)、SACLAを用いて結晶化不要のタンパク質構造解析を実現することにある。スペックルを利用したX線溶液散乱法とは、タンパク質溶液からのスペックル状の散乱像を解析(方位角方向の散乱強度の相関を計算)して分子の構造情報を引き出す手法である。近年の理論的な研究の進展によってXFELのパルス幅と同程度の時間スケールで測定試料へのX線ダメージが起こり得ることが明らかになってきた。そのため、高強度のX線を利用した構造解析を行うためには、X線ダメージの影響を考慮にいれる必要がある。このX線ダメージ過程を実験的に明らかにするために、今年度は、10フェムト秒を切る時間分解能を持つX線ポンプ・X線プローブ法を開発し、フェムト秒の時間スケールで起こるX線ダメージ過程の観測を可能にした。そしてダイヤモンドを試料として、ポンププローブ実験を行なった結果、X線照射後20フェムト秒からクーロン爆発による原子移動が顕著になることが明らかになった。本研究の最終目的であるスペックルを利用したX線溶液散乱法は、2年間の特別研究員の期間内に実現できなかったが、XFELの光特性評価や高強度X線が物質に及ぼすフェムト秒ダメージの観測といった、要素技術を確立することに成功した。これらの技術をもとにして、結晶化不要のタンパク質構造解析の実現に向けて研究を発展させていきたい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 113 Issue: 6 Pages: 1492-1497
10.1073/pnas.1516426113
J. Synchrotron Radiat.
Volume: 23 Issue: 1 Pages: 331-333
10.1107/s1600577515020196
IUCrJ
Volume: 2 Issue: 6 Pages: 620-626
10.1107/s2052252515015523
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry422/
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry454/