1920‐1930年代における日本の探偵小説ジャンルの研究
Project/Area Number |
14J08618
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井川 理 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2015: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2014: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 探偵小説 / 探偵小説家 / ジャンル論 / メディア論 / 犯罪報道 / 大衆文化 / 江戸川乱歩 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年度から引き続き1920‐30年代における日本の探偵小説ジャンルの社会的な位相を多角的に考察する作業に従事した。具体的な作業の内容・成果は以下の通りである。 まず、同時期の探偵小説・探偵小説家に言及する犯罪報道記事の調査を行い、その成果として、日本文学協会第35回研究発表大会(2015年7月)での口頭発表、および、論文「一九三〇年前後の犯罪報道における探偵小説ジャンルの位相―犯罪ジャーナリズムにおける「江戸川乱歩」と「浜尾四郎」の表象をめぐって」(『日本文学』第65巻3号、2016年3月)を発表した。論文では、犯罪報道において探偵小説を現実に生起した犯罪の誘発要因とする批判的言及が増加する一方で、警察・司法関係者らとともに探偵小説家の事件に対する談話が掲載されることに例示されるように犯罪の専門家として一定の社会的地位が付与されてもいたという、同時期のジャンルの両義的な位相を具体的な資料をもとに明らかにした。 次に、江戸川乱歩に関する犯罪報道・広告・ゴシップなどの資料調査・分析を行った。その作業を通じて、後年乱歩が否定的に言及するのみであった「エロ・グロ」や「猟奇」と結び付いた作家イメージの流布が、メディアによって一方的に付与されるだけでなく、小説『陰獣』の大江春泥に自らをなぞらえるという乱歩自身の積極的な加担によるものでもあったこと、また、同時期の犯罪ジャーナリズムにおける「陰獣」という語が変態性欲的なニュアンスを帯びた犯罪者を指す語として運用されていく過程に上記のような乱歩を中心とした探偵小説家のイメージの変遷が関わっていたことを確認できた。これらの知見をまとめた論文を現在学会誌に投稿中である。 さらに、本研究と同分野の最新の成果である小松史生子著『探偵小説のペルソナ 奇想と異常心理の言語態』の書評論文を『言語態』(第15号、2016年3月)に発表した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)