リミックスされる〈記憶〉-中世連歌における過去再利用意識の深化とその芸術学的意義
Project/Area Number |
14J10267
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics and studies on art
|
Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
土田 耕督 国際日本文化研究センター, 研究部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2016)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2016: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2015: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 藤原為家 / 連歌 / リミックス / 擬古典主義 / 藤原為氏 / めづらし / 詠歌一躰(詠歌一体) / 古歌をとる(古歌を取る) / 古歌取 / 本歌取 / 花の下連歌 / 付合 / 古歌再利用 / 二条良基 |
Outline of Annual Research Achievements |
史上初の連歌アンソロジーである『菟玖波集』が編纂された14世紀半ば以前、とりわけ13世紀の連歌は、伝存する作例が少なく、しかも断片的であるため、従来の連歌史研究においては、いわば来たるべき盛期の前史と把握される傾向にあった。その結果、作品分析はほとんど行われず、その表現意識は未だ明るみに出ていなかった。本年度の研究は、このいわば研究史上の盲点に焦点を当てたものである。 たとえ断片的ではあっても、あるまとまりをもって連ねられた句の付合と行様を分析すれば、そこに過去の再利用意識が強く働いていることが理解できる。連歌における過去再利用意識が、和歌から受け継がれたものであることは常識ではあったが、それが13世紀の段階においてこそ十全に機能していたことを見逃すことはできない。というのも、『菟玖波集』を編纂し、准勅撰の地位にまで押し上げた二条良基の認識によれば、汎用的な連歌式目の成立は、まさに13世紀後半にあたるからである。和歌に由来する過去再利用意識と方法論のプログラム化と、連歌独自の公式ルールの設定という要素に鑑みて、13世紀後半は、和歌から連歌への融解点であるといえる。いい換えれば、この時期に、〈和歌=連歌〉とも記述すべき創作環境が現出していた。 この状況を導いたのが、藤原為家と為氏の父子であった。定家の日記『明月記』によれば、為家にはすでにその初学期に、豊富な連歌体験をもっていたことが知られる。為家にとっては、連歌的発想が詠歌の原動力となっている。したがって、為家において、和歌の形式と内容を再構築したものとして連歌が立ちあらわれる。そのような表現意識に浸された時代を生きた為氏が、和歌と連歌との融合をさらに推し進めた、というのが、13世紀後半の実情である。 以上の考察結果の一部を、為家の和歌の側の視点から論じたものが、「藤原為家の〈擬古典主義〉と中世和歌の持続可能性」である。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(3 results)
Research Products
(9 results)