Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
乳癌の微小環境を標的とした創薬、バイオマーカーの探索を目的とした研究に従事し、現在、大変注目されている制御性免疫機構を中心に研究を進めた。具体的な研究内容は、以下の通りである。1、複数の細胞株を用いた、PD-L1の発現解析2、PD-L1発現を制御している分子の解析3、PD-L1制御性分子の抑制によるPD-L1発現抑制の確認ウェスタンブロットとフローサイトメトリーで網羅的に解析し、細胞株によって、PD-L1の発現は大きく異なることを確認。全く発現していないものから、発現割合が90%近い細胞まで存在し、がん細胞によって、PD-1/PD-L1シグナル伝達の活性化の違いが示唆された。これらの細胞中、特にPD-L1の発現が高かった細胞株に着目し、がん細胞の代表的なシグナル伝達系に注目し、PD-L1の発現を促進するシグナル伝達系を同定した。シグナル伝達系の抑制により、PD-L1の発現は有意に抑制され、がんの細胞増殖にかかわるシグナルが、同時に制御性免疫機構も活性化することが判明した。そのシグナル伝達系は、多くのがん細胞の活性化されている。また、がん細胞においても、PD-L1は、IFN-γによる刺激やSTAT3の発現上昇により活性化された。以上より、がん細胞では、シグナル伝達系が活性化され、細胞増殖が刺激され、腫瘍を形成していく中で、抑制性の免疫がさらに活性化されるという、がん細胞の巧妙な進展機構が示唆された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。