細菌の細胞膜流動による「小胞状構造体」の形成に関わる遺伝子ネットワークの解明
Project/Area Number |
15013228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 京都大学, 農学研究科, 教授 (90142299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
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Keywords | スフィンゴモナス属細菌 / 枯草菌 / 体腔 / メソソーム / プロテオミクス / 鉄イオントランスポーター / フラジェリン / 外膜タンパク質 |
Research Abstract |
高分子物質アルギン酸を直接細胞質に取り込むグラム陰性(スフィンゴモナス属)細菌(A1株)において、細胞表層分子の流動再編成により形成される「体腔」の存在を明らかにした。「体腔」は、細胞膜が陥入して生じる小胞状構造体であり、グラム陽性細菌の「メソソーム」と類似していた。「体腔」は、細胞外のアルギン酸の存非に依存して開閉するアルギン酸濃縮器官である。そこで、「体腔」形成及び非形成細胞における発現タンパク質のディファレンシャル解析により、「体腔」形成に関わるタンパク質・遺伝子ネットワークの同定を試みた。アルギン酸存非でのA1株細胞について、細胞質、ペリプラズム、細胞内膜、及び細胞外膜に分画する方法を確立した。高分解能2次元電気泳動装置を用いて、細胞外膜画分において、アルギン酸で誘導されるタンパク質を8種類(P1〜P8)分離し、その遺伝子の同定、ホモロジー解析、並びに機能解析を行った。その結果、A1株は、アルギン醸顆粒結合タンパク質(P8)によりアルギン酸-鉄複合体を「体腔」に濃縮し、鉄トランスポーター(P1〜P4)によりアルギン酸-鉄複合体をペリプラズムに輸送することが示唆された。アルギン酸特異的に発現するフラジェリン(P5,P6)は、鞭毛形成よりも細胞表層構成タンパク質として外膜に局在し、アルギン酸結合能を示した。従って、これらフラジェリンもアルギン酸濃縮に関わっていることが考えられた。また、機能不明リポタンパク質(P7)は、「体腔」とペプチドグリカンとを架橋するタンパク質として機能することが想定された。以上のことから、アルギン酸特異的に発現する外膜タンパク質(P1〜P8)は、「体腔」形成、アルギン酸濃縮、及びアルギン酸輸送に関与している可能性が示された。枯草菌については、「メソソーム」形成条件を探索中であり、条件が決まり次第、A1株と同様のプロテオーム解析を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)