小脳プルキンエ細胞上の登上線維シナプス安定化分子の探索
Project/Area Number |
15016088
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10223091)
|
Project Period (FY) |
2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
|
Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / シナプス / 樹状突起 / 中枢神経 / 神経回路形成 |
Research Abstract |
小脳プルキンエ細胞は登上線維と平行線維の2種類と興奮性シナプスを形成するが、前者は樹状突起の基部に、後者が樹状突起の遠位部にと異種のシナプスが相互に分節化した分布を示している。その特徴的なシナプス分布の形成に関与する分子メカニズムの解明の一環として、本研究を企画した。平行線維シナプスについては、その後部に局在するグルタミン酸受容体δ2サブユニットが平行線維シナプスの安定した保持に大きな役割を担い、同時に登上線維の樹状突起遠位部への伸張をも阻害することを我々は明らかにした。今年度、登上線維シナプス安定化をおこなう分子機構に関与する候補分子の絞り込みを目的として、我々は樹状突起の近位部におけるシナプス可塑性を発生面から調べてみた。光学顕微鏡による観察から、1)発生初期に、複数の登上線維は一個のプルキンエ細胞の細胞体に叢をなして留まる、2)生後7〜9日から登上線維は樹状突起を細胞体より遠位方向に伸展する、3)生後15日に、一個のプルキンエ細胞に対し一本由来の登上線維の先端が成体とほぼ同一の高さまで達する、4)遅くとも生後20日には細胞体でみられた登上線維シナプスが消失する、という結果が得られた。それらのデータを基に、連続した超微形態観察によるシナプス構築の3次元再構築をおこなったところ、1)発生初期には複数の登上線維が一個のプルキンエ細胞の細胞体にシナプスをなし、2)登上線維が移動を開始する時期には、細胞体におけるシナプスの数の面で登上線維間に優劣がみられ、3)同時に、登上線維シナプスと平行線維が樹状突起近位部あるいは細胞体周囲部にて混在する、4)細胞体周囲部より遠位部方両に伸張する登上線維は一本だけである、という結果がえられた。それらのことは、樹状突起近位部が発生初期には平行線維とシナプスを形成するものの成長とともに平行線維シナプスを消失させ登上線維とシナプスを形成することを示している。そのような現象が起きるためには、樹状突起近位部が登上線維シナプスを選択的に安定化させる分子機構を備えていることを示唆している。また、登上線維の電気活動が休止すると登上線維シナプスが消失するとの報告もある。今後は、それらの結果をもとに、登上線維シナプスを安的化する分子機構に関与する分子を探索する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)