H.pylori CagA蛋白による細胞内シグナルネットワークの撹乱
Project/Area Number |
15019002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 秀明 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (20311227)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
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Keywords | 感染症 / シグナル伝達 / 微生物 / 癌 |
Research Abstract |
Helicobacter pylori CagAタンパク質は菌体内で合成後、感染後宿主細胞内に注入され分子内に存在する複数のチロシン残基がリン酸化を受ける。CagAの細胞内標的分子であるSHP-2は、Rasの活性化に関わる分子として考えられている。そこで、CagAにより修飾されるSHP-2介在性シグナル伝達系をより詳細に検討するため、Tet-On systemを用い野生型CagAおよびリン酸化を受けるチロシン残基をアラニン残基に置換したリン酸化耐性CagAの発現制御が可能なAGSヒト胃上皮細胞株を樹立した。野生型CagAを誘導発現させた細胞株では、CagA陽性H.pylori感染時に観察される特徴的な細胞形態変化hummingbird表現型を示した。hummingbird細胞をタイムラプスビデオで経時的な観察を行ったところ、hummingbird表現型を示した細胞は細胞運動性が亢進していることが明らかとなった。次に、CagAがチロシンリン酸化依存的にRas/MAPK系に与える影響を検討した。その結果、CagAの細胞形態変化誘導能は、優性陰性型Ras分子の異所性発現では全く影響を受けず、またRasの活性調節因子であるGrb2の優性陰性型分子を発現させた細胞においても同様の結果であった。一方、MAPKK阻害剤により細胞内Erk活性化を阻害したところ、CagAによる細胞形態変化誘導が抑制された。また、SHP-2特異的siRNAを用いてSHP-2の発現を抑制した細胞においてもCagA依存的な細胞形態変化誘導が阻害された。これらのことより、CagAはSHP-2の活性化とRas非依存的なMAPKカスケードの活性化を介して、細胞形態変化の誘導のみならず細胞運動能を亢進していることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)