レトロウイルスの遺伝子発現制御に関わる宿主因子の解析
Project/Area Number |
15019022
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 太二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60343109)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
|
Project Period (FY) |
2003
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
|
Budget Amount *help |
¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
|
Keywords | 遺伝子 / ウィルス / 感染症 / ゲノム / 発現制御 / ジーンサイレンシング / Brm型SWI / SNF複合体 / Polycomb群 |
Research Abstract |
我々はこれまでにMLVをはじめとするレトロウイルスの発現維持に関わる宿主因子を解析して、「レトロウイルスの発現はこれを正に制御するBrm型SWI/SNFクロマチン構造変換因子複合体(trithorax--G)と負に制御するYY1を含むPRC2複合体(Polycomb-G)との競合によりLTR近傍のクロマチン構造やヒストンの修飾を介して維持されている」ことを示してきた。本年度の研究から、この競合反応にはDNAメチル化は関与しないが、ヒストンH4のLys5、Lys8の脱アセチル化と共に、ヒストンH3のLys9もしくはLys27のトリメチル化が関与することが明らかとなった。トリメチル化の反応はPRC2複合体の構成成分であるEZH2の持つヒストンメチルトランスフェラーゼ活性により担われていると考えられる。また、ウイルスLTR中のYY1結合配列のみを破壊したΔYY1ベクターを作製したところ、これは野生型に比べ、胚性癌細胞をはじめとするBrm発現欠失細胞株でgene silencingを著しく受けにくくなり、今後、再生医療において長期間発現が可能で、有用なベクターになりうると考えられた。 宿主細胞におけるBrmの発現の有無がレトロウイルスの発現制御に決定的であることから、Brm発現欠失細胞株の数株についてrun-on転写法で解析した結果、ヒト胚性癌細胞、マウス胚性幹細胞を含め、これらの細胞中にはいずれも機能的なBrm遺伝子が存在し、恒常的に高レベルで転写が開始され全長に及んで伸長するが、成熟mRNAが検出されないことが示された。この転写後レベルでの抑制の解除を誘導する薬剤を検索した結果、CHAP31等のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)、の阻害剤で一過的に処理するだけで、その後は阻害剤非存在下でも内在性のBrmタンパク質を恒常的に発現させ、レトロウイルスの発現を維持することが可能であることをつきとめた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)