持続感染期におけるモノネガウイルス・ゲノムRNAの安定化機序の解析
Project/Area Number |
15019056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10301920)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
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Keywords | モノネガウイルス / ボルナ病ウイルス / 持続感染 / ゲノムRNA / 中枢神経系 / ウイルス病原性 |
Research Abstract |
本研究は、持続感染期におけるモノネガウイルス・ゲノムRNAの安定維持機構を宿主因子との相互作用を含めて明らかにし、一本鎖RNAウイルスの複製と持続感染を制御する新たな共通基盤の確立を試みるものである。本研究はボルナ病ウイルス(BDV)を用いて解析が進められている。初年度である本年は、ゲノムRNAの安定維持機構の基礎的な知見を蓄積するために、BDV持続感染細胞における(i)ウイルス蛋白質の細胞内動態とゲノムRNA複製制御の解析、(ii)ウイルス複製複合体vRNPの核内局在とゲノムRNA安定維持との関連性の解明を目標に研究をおこなった。(i)の目標において、持続感染の成立に伴うP蛋白質の細胞内局在の変化にはX蛋白質との相互作用が必要であることを示した。また、(ii)の目標において、BDV持続感染細胞を用いて、各細胞周期におけるBDVのゲノムRNAあるいはvRNP構成蛋白質の核内局在を詳細に観察した。その結果、間期の細胞ではvRNPの集合体と考えられる多数のリング状の構造物(NRS)がクロマチン間領域に観察された。一方、分裂期の細胞ではNRSは消失し、vRNP構成蛋白質がクロマチンと共局在することが明らかとなった。さらに、BDV vRNP構成蛋白質は分裂期の細胞においてクロマチンに接着して娘細胞に分配される可能性が示された。このことは、BDVがゲノムRNAの安定維持に細胞の複製機構を利用していることを示唆している。ゲノムRNAがクロマチンと共局在し娘細胞に分配されるという現象はRNAウイルスでは初めての発見であると同時に、細胞間においても同様の動態を示すRNA分子は見つかっていない。今後、ゲノムRNAの安定維持機序の解明には、細胞側の関連因子の同定を含めたさらなる解析が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)