スーパー抗原性細菌外毒素に対する記憶T細胞の分化を中心とした免疫応答機構の解析
Project/Area Number |
15019100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
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Keywords | スーパー抗原 / 細菌性外毒素 / ペプチド抗原 / アナジー / 記憶細胞 / ヒストンアセチル化 / サイトカイン産生 / クロマチンレモデリング |
Research Abstract |
黄色ぶどう球菌等から産生される細菌外毒素は、スーパー抗原(sAg)の性状を持つものが多い。SAgは抗原受容体(TCR)の特定β鎖を介して多数のT細胞クローンに刺激を与え、多量のサイトカイン産生と増殖を誘導するが、刺激後のT細胞に免疫不応答(アナジー)をもたらす。従って、細菌外毒素に暴露された個体では記憶T細胞を含めた免疫機能の低下が想定されるが、その実態および機構は不明な部分が多い。この課題解明に向けて本研究では、sAgであるTSST-1と通常抗原であるOVAペプチド両者に反応するTCR遺伝子導入マウスを用いて、研究を進めている。本年度の成果は以下のとおりである。(1)TSST-1あるいはOVA免疫を受けたT細胞は、TSST-1による再刺激でアナジー状態が誘導され、IL-2やIL-4産生能が顕著に低下した。(2)TSST-1に暴露された個体では、OVA或いはTSST-1いずれの刺激に対してもアナジー状態を示した。(3)しかし、上記いずれの組み合わせにおいても、IL-10の産生能は常に亢進した。これらの結果は、sAg暴露はすでに分化している記憶細胞の機能を阻害すること、およびsAgによる"記憶"は、新たな通常抗原にたいする反応を阻止しうることを示唆した。同時に、sAg刺激によるシグナルは、特定の遺伝子の発現制御を選択的に抑制することを示唆した。次に、特定の遺伝子が存在するクロマチン領域のオープン化状態を、ヒストンのアセチル化を指標に検討した。(4)その結果、サイトカインの産生能と一致して、L-2近位プロモーター領域のヒストンのアセチル化が、再刺激の場合に低下し、sAgは特定のクロマチン領域のリモデリングによってアナジーを誘導することが、示された。今後は、IL-10遺伝子領域も含めたクロマチンレモデリングの状態を、メチル化を含めた指標で詳細に解析する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)