SPA-1遺伝子破壊マウスを用いた慢性骨髄性白血病発症に関わる免疫監視機構の研究
Project/Area Number |
15023229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 雅一 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (40211479)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | Rap1 / SPA-1遺伝子破壊マウス / 慢性骨髄性白血病 / T細胞機能不全 / CD44陽性メモリーT細胞 / Ras-ERKシグナル経路 |
Research Abstract |
Rasファミリー低分子G蛋白Rap1は、もともと癌原変異を持つRasにより形質転換した線維芽細胞の形態を正常化する遺伝子として単離されたが、その生体内における本来の機能については長い間不明であった。そこでこの点を明らかにするために、リンパ・造血系組織に特異的に発現するRap1GAPであるSPA-1の遺伝子破壊(SPA-1-/-)マウスを作製・解析を行った。SPA-1-/-マウスは、正常に生まれ発育するが、生後6ヶ月以降からT細胞機能不全に基づく免疫不全状態に陥り、その後生後1年〜1年半でほぼ全例のマウスが慢性骨髄性白血病をはじめとする多彩な白血病を発症した。SPA-1-/-マウスでは、CD44陽性メモリーT細胞が著しく増加しており、これらの細胞中にはRap1GTPが蓄積していた。この蓄積したRap1GTPによりTCR下流のRas-ERKシグナル経路が抑制されており、これが免疫不全状態の原因と考えられた。さらに臨床的白血病を発症する以前のSPA-1-/-マウスの解析から、これらのマウスの骨髄中に、SCIDマウスにおいて白血病原性をもつ未分化造血細胞が増加すること、およびこれらの細胞中にもRap1GTPが蓄積していることが明らかとなった。未分化造血細胞にレトロウイルスベクターにより活性型Rap1を発現させるとその増殖が促進されることから、Rap1GTP蓄積は免疫系においてはT細胞の機能不全を誘発するが、造血系においては逆に未分化細胞の増殖促進に働き、白血病の原因となっていることが考えられた。また、これらのことが連続的に起こることが、SPA-1-/-マウスのおける臨床的白血病発症に必要であることが強く示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)