細胞外マトリクス制御分子群を用いた抗浸潤・転移療法の開発
Project/Area Number |
15024264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上野 光 産業医科大学, 医学部, 教授 (50260378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹栗 靖之 産業医科大学, 医学部, 教授 (60140646)
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
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Keywords | CD44 / TGF-β / 転移 / ヒアルロン酸 / 遺伝子導入 / 浸潤 / MMP / アデノウイルス |
Research Abstract |
細胞外マトリクス(ECM)はがん細胞表面の接着分子を介して信号伝達を行い、がん細胞の運動や増殖を積極的に制御している可能性がある。その機構の解明とECM-がん細胞の機能連関を制御する分子群を用いた抗転移がん治療法の開発を目指す。多くのがん細胞がヒアルロン酸の受容体であるCD44を発現しており、A549細胞ではヒアルロン酸に反応してFAK(Focal adhesion kinase)が活性化し、MMP-2の活性化やMMP-9の産生亢進がおこり、マトリゲルへの浸潤能が亢進した。9種のヒトがん細胞のすべてでTGF-β受容体が発現していたが、TGF-βに反応して同様に浸潤能が上昇した。両者を併用すると浸潤は相乗的に亢進した。細胞外領域のみからなる可溶型CD44および可溶型TGF-β受容体により、ヒアルロン酸およびTGF-βの作用は特異的に抑制された。A549細胞をヌードマウス尾静脈より注入して4週間後に肺組織を観察すると、がん細胞の生着巣が無数に認められた。この生着巣は可溶型CD44または可溶型TGF-β受容体(アデノウイルスを用いて腹腔内へ遺伝子導入)によりそれぞれ65%抑制されたが、両者を併用すると90%の抑制が達成された。HT29細胞による脾臓から肝臓への転移も、可溶型CD44または可溶型TGF-β受容体によりそれぞれ60%抑制された。さらに両者を併用すると転移巣はほとんど認めなかった。ECMとがん細胞の機能連関を阻害する治療戦略の有用性が動物を用いたin vivoのレベルで確認できた。可溶型CD44および可溶型TGF-β受容体はともに分泌蛋白であり、腫瘍近傍や筋肉への遺伝子導入でも組換え蛋白としての血管内投与でも有効性が期待でき、実用性が高い。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)