Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
|
Research Abstract |
本研究では,ストップトフロー蛍光スペクトルとストップトフローX線小角散乱の速度論的手法を用いて,シャペロニンの作用の分子機構を明らかにすることを目標とする。以下の成果が得られた。 1.最近まで,大腸菌シャペロニンGroELのアロステリック転移の速度論に関しては,定性的な実験結果を基に互いに矛盾した複数のモデルが提出されていたため,混乱が続いていた。特に,もともとこの系のアロステリック転移の提唱者であったHorovitz等が転移の可逆性に関する誤った取り扱いをもとに,転移には複数の並行経路が存在し,遷移状態はATP非結合下で安定なT状態に類似していると報告したため,この混乱に拍車をかけることになった(PNAS99:14095(2002))。そこで,今回,われわれはストップトフロー・ダブルジャンプ法を用いて,アロステリック転移の可逆性に関するHorovitz等の取り扱いの誤りを指摘し,アロステリック転移が速度論的MWC(Monod=Wyman-Changeux)モデルで表され,遷移状態はATP結合下で安定なR状態に類似していることを明らかにした。 2.超好熱性古細菌Thermococcusi sp.strain KS-1のグループIIαシャペロニンについて,その野生型とヘリックス突出欠損変異体のATPによる構造転移を蛍光スペクトルとX線小角溶液散乱により調べた。その結果,ヘリックス突出が,変性した標的蛋白質との結合にとって必要というよりは,むしろATPによる構造転移にとって重要であり,そのような構造転移が標的蛋白質のフォールディングを介助していることがわかった。
|