Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
プロトン移動は化学や生命科学において重要な役割を果たしている.プロトン移動によって引き起こされるプロトン互変異性はπ共役系の組替えを伴うため,物質の色や性質の変化を引き起こすことがある.これが光照射によって起こればフォトクロミズムが発現することになる.私達は今回,2-ヒドロキシフェナジン(1),3-ヒドロキシアクリジン(2)および7-ヒドロキシキノリン(3)の2-メチルテトラヒドロフラン(MTHF)溶液に低温で紫外光を照射すると,著しい色変化が起こることを見出した.すなわち,1のMTHF溶液に,77Kで紫外光(高圧水銀ランプ,365nm)を照射したところ,黄色の溶液が赤紫色に変化した.紫外可視吸収スペクトルでは,光照射前はOH形に由来する吸収だけが見られるのに対して,光照射後はNH形に由来する吸収帯が見られた.すなわち,光照射によってNH形が生成している.光照射停止2時間後にはNH形に由来する吸収帯がほぼ消失した.2もほぼ同様の挙動を示した.3の光着色体は1,2とは異なり,77Kでは減衰は示さなかった.これらのフォトクロミズムの特徴は,プロトン移動が分子間で起こっていることである.これらの分子はOH基とN原子が離れているため,プロトン移動は分子内では起こりえない.それにもかかわらずプロトン移動が進行したことは,これが分子間で進行していることを示している.したがって,温度の低下に伴って分子間水素結合による会合体が形成され,その中で分子間プロトン移動が起こったものと考えられる.
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