半導体ナノ構造におけるスピン・光子結合系の量子状態制御の理論
Project/Area Number |
15034210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高河原 俊秀 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (00111469)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 半導体量子ドット / スピン位相緩和 / 量子状態制御 / 交換相互作用 / スピンコヒーレンス |
Research Abstract |
半導体ナノ構造における電子スピンを量子ビットとして用いる場合、その位相コヒーレンス時間が重要なパラメーターである。ところが、従来スピン緩和時間というと、それは縦緩和時間をさすことが多く、実験的にも縦緩和時間と横緩和時間とを区別して測定した例は少ないようである。ここでは、この両者を理論的に評価する試みに着手した。電子スピンの緩和機構としては、従来よりD'yakonov-Perel'機構、Elliott-Yafet機構、Bir-Aronov-Pikus機構が議論されており、ノンドープIII-V族半導体のバルク及び量子井戸においてはD'yakonov-Perel'機構が重要であることがわかっている。量子ドットにおいては、波数ベクトルは良い量子数ではないので、従来の議論をそのまま使うことはできない。そこで、伝導帯と価電子帯の結合を取り入れた8-band k・p Hamiltonianに、D'yakonov-Perel'機構のもととなっているDresselhaus項を付け加えて、電子準位を計算した。計算に用いた量子ドットは、x-y平面内では楕円形状のディスクである。Hamiltonianの時間反転対称性を反映して、すべての準位はKramers縮重している。従来の議論では緩和を引き起こす原因として考えられていたHamiltonianをも含めて対角化し、電子準位を求めたので、これらの準位間の遷移を引き起こすものが緩和機構ということになる。主要なものとしては、電子格子相互作用、原子核との超微細相互作用が考えられる。ここでは、前者の電子格子相互作用を考えた。電子スピンの位相緩和は量子コヒーレンスに関するものであり、密度行列の非対角要素の時間発展を追うことにより調べられる。double Feynman diagramを用いる理論により計算を行った。GaAsの量子ドット(長軸半径20nm、短軸半径10nm、ディスク高5nm)の場合、1K以下では、基底状態の電子スピンの位相緩和時間は数ns、縦緩和時間はほぼ無限大(他の緩和機構により有限になる)であることがわかった。更に、原子核スピンとの超微細相互作用及び原子核スピンどうしの双極子相互作用が、電子スピンの緩和時間に及ぼす効果について考察を進め、新しい理論を定式化した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)