連続時間周期摂動系におけるトンネル効果の複素半古典論を用いた解析
Project/Area Number |
15035212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 公也 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70188001)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 多次元トンネル効果 / フリンジトンネル効果 / 複素半古典論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多次元量子系のトンネル効果を、複素半古典理論を媒介にして、複素古典力学の観点から解読する方法を確立することである。 周期摂動下の障壁トンネル効果では、摂動が強くなるとフリンジトンネル効果と呼ばれる複雑なトンネル波の干渉が観測される。本研究では複素半古典論を用いてフリンジトンネル効果が発生する機構を理論的に解析した。その結果、複素領域に初期点をもつトンネル効果に寄与する軌道が、複素領域の安定多様体に導かれて実領域に急速に接近し、その後不安定多様体に沿って散乱されるカオス的トンネル軌道であることがわかった。このようなトンネル軌道が作り出すトンネル現象は、従来のインスタントン描像が与えるトンネル現象とはまったく異なったものである。 これらの成果を元に、周期摂動下の障壁トンネル効果における散乱波のエネルギースペクトル(S行列)の解析を行った。その成果として、カオス的トンネル軌道が支配的になりフリンジトンネル効果が見られる強摂動状態では、そのエネルギースペクトルにも著しい変化が現れることが確認された.強摂動状態のエネルギースペクトルの形状は従来のインスタントン理論を用いた半古典論では説明できないもので、カオス的トンネル軌道を考慮することで初めて再現可能になる。スペクトルの特異性は、古典的な不安定多様体の構造が半古典論を介し量子的なスペクトルに反映されたもので、カオス的トンネル効果がエネルギースペクトルの中に観測可能な形で具現化したものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)