強レーザー場による溶液中のイオン励起と巨大クラスター生成の分子動力学研究
Project/Area Number |
15035218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
田中 基彦 核融合科学研究所, 研究・企画情報センター, 助教授 (80167501)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | クーロン強結合系 / イオン性ソフトマター / 分子動力学シミュレーション / 電荷反転現象 / DNA / 同種荷電粒子の融合 / 電解質溶液 / 静電場による分子軸の配向 |
Research Abstract |
強い電場が荷電多粒子系の構造形成、クラスター形成に与える効果を、分子動力学シミュレーション法を用いて次の2つのテーマについて研究した。 [A.]電解質溶液中での、強い静電場による粒子クラスター生成過程 複数のマクロイオンとそれを電気的に中和する対イオン、その追加成分として、価数Z:1の電解質塩イオンを添加する。 (1)塩イオン(電荷逆転を支える対イオン)が無い場合:同符合電荷をもつマクロイオンどうしは、多価(2価以上)の対イオンの介在により、静電引力で安定に物理結合して粒子クラスターを形成する。これは静電エネルギー最小状態であり、同符号コロイド粒子融合という特異な現象を説明する機構である。この物理結合には顕著な対イオン価数への依存性があり、1価対イオンではマクロイオンの結合は起きない。 (2)多価の電解質塩を加えると、各マクロイオンは多数の対イオンの凝縮を受けて電荷逆転を起こす。少量の塩添加のときは安定な結合が生じる。添加塩イオン濃度が0.5mol/l以上でこの物理結合は不安定となり、クラスターは崩壊する。 (3)強い電場を印加すると、マクロイオンどうしは運動エネルギーを得て衝突し、マクロイオン間にある静電的バリアー超えて結合し、クラスターが生成される。ただし、マクロイオンの電荷が小さいとき、このクラスターは準安定で、結合と崩壊を繰り返す。ここでも(1)の過程と同様に、多価の対イオンはマクロイオンをつなぐ糊の役割をしている。 [B.]電解質溶液中における、強い印加電場によるイオン分子の移動と回転配向 電荷逆転現象は強い静電気力による構造形成、自己組織化現象である。生体系のロッド形状分子であるDNAを想定して、表面電荷密度が小さい場合に焦点をあてて研究を行った。系には電荷逆転を起こす十分な濃度の電解質塩イオンを添加する。電場は系に対称性を与え、対イオンは電場方向のロッド先端に凝縮し、共イオンは電場反対方向のロッド先端に集まる。つまりイオン凝縮によりロッドに誘電分極が起きる。この過程で静電エネルギーを最小にするためロッドが回転し、ロッド軸が電場に沿う向きに配向する。ただし、この回転を起こすための静電場は10^5V/mとかなり大きい。ただし滑らかな一様表面電荷では、対イオンが滑るためマクロイオン上に安定に凝縮しない。この回転配向を利用して、長さの異なるDNAなどのロッド形状高分子の選別できる可能性がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)