不飽和有機分子の酸化的環化による高原子価有機金属錯体の合成
Project/Area Number |
15036228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 芳彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60283412)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | パラジウム / 高原子価有機金属錯体 / 酸化的環化 / スピロ環 / 三方両錘型錯体 |
Research Abstract |
0価パラジウム前駆錯体Pd_2(dba)_3をO-クロラニルおよびノルボルネンとアセトン中室温で30分攪拌する簡便な操作により、これらの不飽和有機分子が二重に酸化的環化した結果、C2対称なスピロ環骨格を有する4価パラジウム錯体が一挙に形成された。THFより再結晶して得られた単結晶のX線解析を行ったところ、1分子のTHFを含む歪んだ三方両錘型構造を有することがわかった。更に、エーテル錯体をピリジンに溶解し室温で30分間攪拌し、再結晶を行ったところ、二つのテトラクロロベンゼン環がノルボルナン環の方向に倒れて配位空間を広げ、その結果2分子のピリジンが取り込まれた八面体型構造を有する錯体が生成した。4価パラダスピロ環錯体の形成には、強力な酸化作用を有するO-クロラニルと歪んだ二重結合を持つノノレボルネンの組み合わせが重要な意味を持つ。O-クロラニル以外のO-キノン類を用いても同様の錯体は得られず、また、p-キノンを用いると新規複核0価錯体が得られた。ノルボルネンに代えて1,5-シクロオクタジエンをO-クロラニルとともに反応させた場合には、2価パラジウムカテコーレート錯体が得られ、ノルボルネン誘導体としても、ベンゾノルボルナジエンのみが4価錯体を与えることが判明した。 4価パラジウムスピロ環錯体において、THF酸素-パラジウム結合距離は2.3751(14)Åと比較的長く、弱い配位結合で保持されていると考えられる。実際、THF-d_8中では安定であるが、CDCl_3溶液中ではTHF配位子を配位圏外に放出し、室温で徐々に分解する。一方、ベンゾノルボルナジエン由来のTHF錯体も、結晶および溶液状態で同様の挙動を示すが、ノルボルネン由来の錯体に比べてかなり安定性が向上し、CDCl_3溶液中であっても室温では分解にくいことを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)