Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,これまで行なわれてきた働きアリの分類を雄アリに拡大するため,働きアリと雄アリの正確な対応関係を明らかにすることがまず第一条件となる.そこで本年は可能な限り同一のコロニーからの働きアリと雄アリのセットを採集することを目標として,北海道,本州および九州において採集を行なった. コロニー内で雄アリが生産される時期に合わせ,新潟県佐渡島,兵庫県洲本市,福岡県福岡市,北海道帯広市,大樹町,上士幌町,鹿追町,白滝村,網走市,小清水町,八雲町,石狩市,そして勇払郡から各数ヵ所を選定し採集を行なった.なお,採集環境については雑木林孤立林および防風林,都市公園,草地そして裸地など、なるべく多岐な環境にまたがるように配慮した.また,採集されたコロニー内に有翅虫のさなぎを確認した場合には,孵卵器での飼育と有翅虫羽化を試みた. 上記の方法で集められた標本についてはすべ70%エタノールで保存し,その標本データをデータベース化している.またこれらは順次台紙に張り付け,同定して乾燥標本として保管するようにしており,速やかに形態検討に入れる状況が整いつつある. これらデータベース化されたコレクションを材料として,日本産アギトアリ属Odontomachusの再検討を行なった.現在日本に分布しているとされる種が,ミャンマーから中国,あるいは台湾まで広域に分布する種であり,さらに働きアリの形態における種内変異が大きかったため、改めての標本借用などに想定以上の時間を要したものの,採集された雄の形態情報が決め手となり,日本分布二種の分類学的地位を決定することができた.本論文は現在,Species Diversityに投稿中である. また,現在は世界的にほとんど雄アリの記載がなされていない(全種数のわずか1%)ウロコアリ属Strumigenysについて,新種記載を含めた雄の記載を準備中である.
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