Research Abstract |
【目的】レストレスレッグズ症候群(RLS)の有病率については,欧米ではいくつかの報告があるが,我が国における有病率を検討した報告は少なく国際的な診断基準を用いたものではない.今回我々は,日本の高齢者におけるRLSの有病率を,国際的なRLSの診断基準に基づいて検討した. 【方法】愛媛県中山間地域にある中山町(人口約6000人)在住の65歳以上の高齢者1510人を対象とし,睡眠に関する質問紙を1440名に配布した.RLSに関する質問は,1)下肢の不快感や異常知覚に伴って下肢を動かさずにはいられない衝動が存在する,2)安静により症状が増悪する,3)運動により症状が改善する,4)症状が夜に増悪する,5)症状があることで入眠が妨げられる,の5項目からなり,最初の4つの質問全てに該当すると回答した者をRSL疑いとした.これらのRLS疑い全例に対し,神経内科および睡眠医学の専門医が訪問調査を行い,RLSのNIH診断基準(2003年)に基づいて診断を行った.また,RLSと診断された群について,臨床的な特徴,RLS症状による睡眠の障害の程度と重症度を検討した. 【結果】1360名(男性568名,女性792名)で質問紙への回答が得られ(回答率94.4%),103名(男性51名,女性52名,7.6%)がRLS疑いであった.これらのうち,88名(男性42名,女性46名)で訪問調査による問診を施行し,うち19名がRLSの診断基準を満たした.最終診断に基づくRLSの有病率は1.4%であった.RLS群におけるRLSの罹病期間の平均は5.6±4.9年で,RLS症状の平均出現回数は3.3±2.8/週であった.RLS群のうち6名が腰椎あるいは頚椎の異常を伴っていた.また11名が,軽度の入眠困難を訴えたが,RLS症状による重度の睡眠の障害はみられなかった. 【結論】日本の高齢者におけるRLSの有病率は,欧米で報告されている有病率と比べ低かった.また,RLSの重症度も軽度で,RLS症状が重度の睡眠の障害にはつながっていない事が示された.
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