Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
本研究は,人間の持っている記憶機能をその進化という視点を含めて検討しようとしたものである.理論的にはTulving(2001)のSPIモデル(Serial Parallel Independent model)を基礎として,方法論的には注意および記憶に関わる実験的手法を用いて,処理の自動性と記憶の抑制・ゆがみについて検討した. まず,処理の自動性に関する研究では,処理が比較的遅い段階でなされかつ意識的注意が関わるとされる,自然画像の処理について検討を行った.その結果,注意を必要としない条件下で,自然画像のカテゴリー化が可能であることを見いだした.このことは,高次の意味記憶が自動的に自然画像という特殊な情報の高次意味処理を促進したとものいえる. 記憶のゆがみに関する研究では,SPIモデルで最も上位に位置するエピソード的想起意識と実際の記憶遂行とのずれについて検討した.フォルスメモリの手法を用いた実験の結果,他者の発話であるにもかかわらず詳細な想起意識(Remember)を伴って思い出されることや,それが声質などの知覚的特徴を想起している場合があることを明らかにした.また,記憶の抑制については,ある事柄を意図的に想起することが関連情報の想起の抑制を引き起こすこと(検索誘導性忘却),またその生起にはエピソード経験という要因が重要な役割を果たすことを明らかにした.さらに,SPIモデルで最も高次であるとされるエピソード記憶の発達的側面について検討した結果,子ども自身が情報(ビデオ映像刺激)と相互作用を持つことによって,エピソード記憶が促進されることが見いだされた. 記憶を進化的に早く低次で自動的なPRSから,人間特有な進化を遂げたエピソード記憶という回想性を仮定する見方が,人間の記憶機能をとらえる上で重要な視点となると考えられる.
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