Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
細胞は細胞外基質と焦点接着斑と呼ばれるタンパク質の塊状部位によって接触を実現し形態を維持していると考えられている。従って力学的刺激あるいは化学的刺激に対する細胞の応答を知る上で焦点接触力を計測することは重要である。本研究では,シリコンの微細加工技術を用いて微小なセンサを開発し細胞の焦点接触力を測定することを目的とする。最終年度である今年度は,初年度に目指していたピエゾ抵抗型センサ方式を変更し,マイクロポストのたわみから接触力(牽引力)を推定する方式を検討した。まず,アレイ状マイクロポストのデザインを起こしレチクルを製作した。次にシリコンウェハにレチクルのデザインを露光転写した。ウェハをエッチングしレジストを剥離して型を製作した。続いて型にシリコーンポリマーを流し込みカバーガラスを載せた後,加温硬化させた。硬化後,型からカバーガラスごとシリコーンポリマーをはがし細胞外基質を完成させた。マイクロポストのサイズはおよそ直径3μm,高さ10μm,中心間距離8μmである。試料として,当初の予定であった内皮細胞よりも骨格構造により特徴のある平滑筋細胞を用いた。製作した基質上に平滑筋細胞を培養しマイクロポストのたわみを画像処理によって求めた。焦点接着斑の位置を確認し,かつアクチンフィラメントとの関係を把握するために,RFP-FATとGFP-アクチンのベクターを細胞に導入した。その結果,推定された平滑筋細胞の牽引力は11.8nNであり,最大値は81.3nNであった。また,それストレスファイバの分布から推測される力の合成ベクトルと牽引力のベクトルの方向は明らかに一致していた。このことからストレスファイバの発達は細胞の牽引力に支配的であることが考えられた。以上のように,本研究ではマイクロポストを有する細胞外基質デバイスを製作し,細胞底面に発生するミクロな力学環境を解明することに成功した。
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