LET増加に伴うRBEの上昇はDNA二重鎖切断のエラー修復で説明できるか
Project/Area Number |
15651016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Risk sciences of radiation/Chemicals
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内海 博司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20025646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安平 進士 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (90311729)
田野 恵三 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00183468)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | ニワトリ細胞株 / DNA二重鎖切断 / 相同組換え修復 / LET / RBE |
Research Abstract |
LET(linear energy transfer:線エネルギー付与)と生物的効果比(RBE:relative biological effectiveness)の関係は、低LETのγやX線を基準にした場合1keV/μmからRBEはしだいに大きくなり、LET200keV/μm付近で極大となり、その後減少することが知られている。これは、LETが低いとγ線ではDNA二重鎖切断(DSB)を作る効率が悪いが、 LET増加と共にDSBを作る効率が良くなり、200keV/μmが最適であり、それ以上では無駄玉となるという解釈であるが、DSB修復系が明らかになり、1個のDSBが致死になることが明らかになった現在、この解釈は正しいのであろうか。 そこで4種のニワトリBリンパ細胞株{親株(DT40)、DNA二重鎖切断修復の相同組換(HR)修復系に関与するRad54遺伝子をノックアウトした細胞株(RAD54^<-/->)、非相同的末端連結(NHEJ)修復系のKu70遺伝子をノックアウトした細胞株(KU70^<-/->)と、この両遺伝子をダブルノックアウトした細胞株(KU70^<-/->/RAD54^<-/->)}を用いて、LETとRBEの関係を検討した。線源は150kVp X-線発生装置を基準線源として用い、高LET線源として原子炉からでてくる熱中性子と、熱中性子とボロンを組み合わせての^<10>B(n,α)^7Li反応により生成されるα線を用いた。細胞死は、コロニー形成法を用いて生存率曲線を描き、10%生存率からRBEを計算した。結果は、親のDT40細胞はX線と熱中性子及びα線の3曲線は異なり、X線の基準にしてRBEは熱中性子は1.8、α線は3.9であったが、ダブルノックアウトした細胞株(KU70^<-/->/RAD54^<-/->)では、X線と熱中性子とα線の3つの生存率曲線が一致し、RBEは1であった。 低LET放射線でもDSBが出来るが、LETが高くなるにつれて、微小空間に2つ以上のDSBが出来る確率が増え、この2つ以上のDSBがエラー修復修復を誘導するという可能性が考えられ、修復がなければ、RBEの増加はないと解釈された。これまでの仮説と異なり、更なる検討が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)