Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
前年度の研究において,千葉県印旛沼流域から回収した起源の異なる有機物を湖沼水に添加した系から細菌を単離した。今年度は,これらの単離株を用いたバイオレスポンスプレートの試作を行い,溶存有機物解析への適用可能性を評価した。 バイオレスポンスプレートは,酸化還元指示薬を予め添加したマルチプレートの各ウェルに,基質利用特性の異なる単離株を植種して作成した。各ウェルにろ過滅菌した試料を添加し,単離株が試料中の溶存有機物を利用して呼吸すると,酸化還元指示薬が赤く発色することから,その発色パターンに着目して,溶存有機物の特性を生物学的視点から評価することを試みた。 まず,段階希釈したR2A培地を用い,バイオレスポンスプレートの感度を評価したところ,有機物濃度5mgC/lであっても良好な発色が得られた。しかし,RO膜濃縮した流入河川水試料(ウェル内濃度10mgC/l)では,(1)試料の添加によってウェル内に白色沈殿が生成し,低吸光度領域での測定が不安定になる,(2)対照系と試料添加系との差異が不明瞭,などの問題が生じた。白色沈殿は,濃縮試料中の硬度成分が,酸化還元試薬と反応して生成することが判明したため,陽イオン交換樹脂による脱塩で解決した。環境試料中の溶存有機物に対する単離株の呼吸活性を高めるために,細胞内貯蔵物質・細胞外ポリマーを消費させるスタベーションを事前に試みた。この結果,β-Proteobacteriaに属する一部の株では,環境試料に対する応答を検出できたが,全体的には呼吸活性は依然として弱く,流入河川水を添加した系列から単離した株であっても呼吸活性を示さない等の問題点が残った。 今後の研究開発の方向性としては,単離株の代謝特性に基づいたバイオレスポンスプレートの改良と平行して,有機物利用に関わる機能遺伝子等に着目した遺伝子ベースのバイオレスポンスプレートの作成などが考えられる。
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