「精神障害者家族」の組織化が専門家およびその集団に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
15653031
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Sociology
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
南山 浩二 静岡大学, 人文学部, 助教授 (60293586)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Keywords | 精神障害者家族会 / セルフヘルプグループ / ナラティブコミュニティ / 対抗的公共圏 / フレーム / 語り / 物語 / 全国精神障害者家族会連合会 / 精神障害者家族 / 家族会 / モデルストーリー / 医療化 / アイデンティティポリティクス / マスターナラティヴ / ナラティヴコミュニティ / 精神医療 / オーラルヒストリー / ヘゲモニー |
Research Abstract |
本研究では、精神障害者家族会および(財)全国精神障害者家族会連合会を取り上げ、家族会が組織されはじめた1960年代に主に焦点をあてながら、精神障害者家族の組織化の過程を記述するとともに、そのことが専門家および社会に支配的なマスターナラティヴに対してどのような影響を与えたのか考察を加えた。その際、セルフヘルプグループをナラティヴコミュニティ(野口,2005)ととらえるとともに、ナラティヴコミュニティの生成が、社会の支配的なマスターナラティヴに対抗する言説を醸成する「対抗的公共圏」(齋藤,2005)の創造を意味するものとした。 本研究の主な知見は次の通りである。家族会運動の全国組織結成の過程のなかで呈示された「医学的対象としての精神障害」(「就労を中核とする社会復帰」)というフレームは、精神障害者を「治安の対象」として「周辺化」「排除」するフレームに対抗する形で示されたものであり、このフレームが家族の経験に意味を与え家族の語りを徐々にではあるがより広汎な世界へと導く役割を果たしたものであったことが考えられた。当時の家族の手紙の中には、今こそ家族が連帯すべきとの主張に共鳴する語りが見られたが、一方で、手紙のなかには、フレームに同調しつつもとまどいを表出する語りも見られた。とりわけこうした語りは、「病院まかせ」である家族を批判し、「家族会の治療的重要性」を主張する「医師の語り」に対するものであった。こうした家族の違和感の背景には、医療を拠点に家族会が組織されたという経緯が関わっており、医師をはじめとする専門家の言説に距離をとる語りは、おそらく、1980年代に地域家族会活動が活発化するまで、あまり広汎に聞かれることがなかったのではないかとの仮説が導出された。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)