ハンセン病患者・元患者の生涯と心理的特性-長期的な社会的隔離は何をもたらしたか-
Project/Area Number |
15653045
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educational psychology
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 武剋 東北大学, 教育学研究科, 教授 (90004085)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼山 博 仙台白百合女子大学, 人間学部, 助教授 (00285678)
福島 朋子 いわき明星大学, 人文学部, 助教授 (10285687)
山中 亮 高等教育研究推進センター, 助手 (20337207)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | 生涯発達 / ハンセン病 / 社会的隔離 / 老年期 / 自己 / 社会認識 / 差別 / 偏見 / 生涯発達心理学 / ハンセン病施設入園者 / 人生展望 / 自己認識 / ライフイベント / 語り聞き |
Research Abstract |
今年度はハンセン病療養所の実態把握と入所者との信頼関係の構築に努めつつ、数名を対象に面接調査を行った。それらを総合した結果は次の通りである。なお、これらの成果をInternational society for the Study of Behavioral Developmentや日本発達心理学会で発表した。 (1)人生(生涯)そのものに対する認識:現在の入所者の多くが児童期を過ごした戦争中はやはり国家主義的で、隔離されること自体が国に協力することに通じると考えられていた。終戦前後は、食糧難に、監視の強化がありまって、特に苦難な生活を強いられた。園内の民主化は社会よりもずっと遅れたが、患者の運動や社会啓発により、園内の施設や患者の待遇改善などが行われ、全体的に年を取るほど良くなってきたと考えられている。しかし、それはあくまで差別的な待遇に基づく表面的な措置であり、根本的な人間性の回復が必要だと考える人々もおり、それが国家訴訟の原動力となった。結果的に勝訴(国が控訴を断念)、名誉回復が決まったが、その喜びの反面、高齢化が進んで社会復帰が現実的には不可能な点を惜しんでいる人がほとんどである。 (2)社会に対する認識と社会的自己観:入所前野差別体験が尾を引き、現在もなお、園外の人々は明確な差別意識を持っていると考え、園外へ出ることを怖いと感じている。しかし、さまざまな交流で園外の人々への恐怖感は減っており、そういう恐怖を持つような偏見を社会に対して持っていたことと思う人々も出ている。他方で、社会復帰者に対する入所者の対応に見られるように「社会に出ること」の意味づけは非常に大きく、そのため逆に「社会に出られなかった」自らの人格や能力を過小評価する傾向がある。自己評価のための基準が園内にしか存在せず、社会の中でどんな位置づけにあるかを確認する機会に乏しかったことがその理由として考えられる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)