Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Research Abstract |
PbTe/CdTeヘテロ接合を対象に,GaAs基板上に集積化した中赤外線領域の光電子集積デバイスの開発を目的とした.PbTeは3μm帯に対応する直接遷移型半導体で,開発の遅れている中赤外線領域の受光・発光デバイス材料として注目を集めている.近年BaF_2(111)を基板に,PbTe/PbEuTeヘテロ接合が発明され,ヨーロッパ諸国やアメリカを中心に研究が進んでいる. 本研究では,受発光素子や周辺電子回路との集積化を考慮して,汎用性の高いGaAs(100)を基板とした新しい材料システムを開発することを目的とする.具体的には,障壁層にPbTeと格子整合するCdTeを採用し,PbTe/CdTeヘテロ接合の結晶成長と発光特性を検討した. 結晶成長は固体ソースの分子線エピタキシー法で行い,GaAs(100)基板面上に高品質CdTe(100)バッファ層を成長させ,その上にPbTe/CdTe量子井戸を作製した.PbTe量子井戸の井戸幅は1〜10nmである.この構造から世界で始めて中赤外線領域のフォトルミネッセンスを観測した.発光は極低温から500K程度まで観測でき,特に室温以上の発光強度は従来のPbTe/PbEuTe量子井戸よりも1桁高かった.発光機構は量子井戸に閉じ込められた電子と正孔の再結合に基づいており,半導体電子デバイスに好適である.このような高効率発光特性が実現できた理由を解析すると,CdTe中のPbTeは2次元的な量子井戸ではなく,直径20nm程度の等方位無歪み粒子を形成していることがわかった.即ち,高効率発光は量子ドットの形成に負うものであることが判明した.岩塩構造をもつPbTeと閃亜鉛鉱構造のCdTeは立方格子としての格子定数は整合しているが,結晶構造が異なるために相分離を生じ易い.このために,自由エネルギーの最も少ない球状の量子ドットを自己形成することがPbTeにとって安定であることが第1原理計算を用いて明らかになった.従来,固体中における量子ドットの形成機構として界面歪によるSKモードが知られていたが,本研究で見出した形成機構は格子タイプのミスマッチに基づいており全く新しいものである.
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