Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 雄二 長崎大学, 水産学部, 教授 (80039726)
高尾 雄二 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (20206709)
石橋 康弘 長崎大学, 共同研究交流センター, 助手 (00212928)
長江 真樹 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (00315227)
大久保 明 マイクロ化学技術(株), 研究顧問 (20111479)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
2000年および2003年暮に有明海で大発生した海苔の色落ちは生産に壊滅的打撃を与えた。海苔の色落ちの原因には,赤潮プランクトンの大量発生による窒素やリンなどの栄養塩欠乏,埋め立て,干拓の影響,病原菌など諸説あるが決定的原因究明がなされていない。筆者らは2001年より色落ちの直接原因を解明するために,正常海苔と色落ち海苔の構成成分の分析を行った。その結果,色落ち海苔では光合成色素(クロロフィルとカロチノイド),光合成色素タンパク質フィコビリン類,および光合成に不可欠な微量元素(Fe,Zn,Mn,Cu)がすべて顕著な減少を示していること,さらに光合成色素と微量元素,光合成色素タンパク質と微量元素との間に,それぞれ極めて高い相関があることを見出した。このことから,色落ちは,窒素,リンに加えて微量元素欠乏が引き金になって光合成能の低下による海苔の生育量の減少と色素合成系異常によって引き起こされていることを突き止めた。この結果を踏まえて,なぜ海苔が微量元素欠乏になったか,その機構を解明することを目的として以下の項目について検討した。 1)有明海の海水中の微量元素(Fe,Zn,Mn,Cu,Si)の存在量および溶存化学種の解明 2)培養実験による海苔が吸収できる微量元素の化学形態の解明 3)培養実験による海苔の微量元素吸収機構 4)海苔と珪藻との共存培養による栄養源の分配の仕組みの解析 5)栄養元素(N,P)および微量元素(Fe,Zn,Mn,Cu,Si)から見た色落ち防止策の検討 その結果,色落ちは陸上植物に見られるFe欠乏と基本的に同義であることが分った。培養実験によりFe欠乏で色落ちが発現すること,ならびに発現した色落ちがFeの添加で回復することを確認できた。現在,Feの海洋中における化学形態の違いによる海苔のFe吸収速度の変化を中心にFe欠乏の原因究明を行っている。
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