Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
1.実験方法 7種類の高純度トリアシルグリセロール(TAG,純度99%)を試料にした。単一飽和酸型トリアシルグリセロール(TAG)としてトリパルミトイルグリセロール(PPP)およびトリステアロイルグリセロール(SSS),対称型飽和・不飽和混酸型TAGとして1,3-ジパルミトイル-2-オレオイルグリセロール(POP)および1,3-ジステアロイル-2-オレオイルグリセロール(SOS),非対称型飽和・飽和・不飽和混酸型TAGとして1,2-ジパルミトイル-3-オレオイルグリセロール(PPO)および1,2-ジステアロイル-3-オレオイルグリセロール(SSO),非対称型飽和・不飽和混酸型TAGとして1-パルミトイル-2-オレオイル-3-ステアロイルグリセロール(POS)を用いた。TAGの融液(+2℃・min^<-1>,60〜100℃まで)を試料温度制御・計測装置に装着して超伝導磁石による静磁場(5 T)下で固化(-2/5℃・min^<-1>,-10〜20℃まで)させた。温度変調示差走査熱量計を用いて温度範囲-10〜100℃,平均加熱・冷却速度0.8〜2℃・min^<-1>,温度変調振幅0.125℃,温度変調周期100sという条件で発熱・吸熱ピークに関する温度とエンタルピー変化測定した。TAG約200mgをX線回折装置の試料容器に充填させ,これを試料加熱・冷却装置に装着し,2℃・min^<-1>で100℃まで加熱融解したTAGを静磁場(5 T)のもと20℃まで5℃・min^<-1>で冷却して凝固させた。X線回折装置を用いてTAGのX線回折図を得た。X線源にCu-K_αを用いて,管電圧35kV,管電流40mA,走査速度毎秒5°,測定間隔0.02°,走査角度2θ=0〜40°の条件で測定を行った。 2.結果および考察 TAG融液を冷却して固化させる工程での静磁場印加(5 T)の効果は,以下のようになることを明らかにした。すなわち,(1)静磁場の(i)単一飽和酸型TAGに対する静磁場の影響はTAGを構成する脂肪酸鎖長に依存している可能性がある(PPPとSSSとの比較)。(ii)アシル基にオレイン酸が存在した上でパルミチン酸を含むTAG(PPO)はステアリン酸の場合のTAG(SSO)よりも静磁場の影響を受けやすい。(iii)非対称型TAG(POS)より対称型TAG(POP,SOS)の方が静磁場の影響を受けやすい。しかも,パルミチン酸をアシル基にしているTAG(POP,PPO)は静磁場の影響が強く現れる。本実験により,油脂食品を製造する際のTAGの結晶形を制御する手法として,静磁場処理を利用できる可能性が示唆された。この磁場効果は,磁石内での磁場勾配およびTAG分子の磁化率の異方性による分子配向に起因すると推察された。
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