ナンセンスmRNA分解系の特異的な抑制による変異遺伝子機能回復の可能性の検討
Project/Area Number |
15659084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human genetics
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大野 茂男 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142027)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | mRNA / mRNA分解 / 遺伝子変異 / ナンセンス変異 / プロテインキナーゼ / 阻害剤 / コラーゲン / 筋ジストロフィー症 |
Research Abstract |
ヒト疾患遺伝子や下等生物変異体の解析から明らかとなった遺伝変異の1/4程度は最終的にナンセンスコドンを有するmRNAを生じるタイプの変異であるらしい。ナンセンスコドンを有するmRNAはトランケート型のタンパク質をコードするが、実際にはこのようなタンパク質が検出されないことが一般的である。これはナンセンスコドンを有するmRNAが選択的に分解されていることに起因する。この現象は、nonsense mediated mRNA decay, NMDと呼ばれ、酵母からヒトに至るまで保存された真核生物に普遍的な機構であり、修復を逃れた遺伝子変異に由来する異常タンパク質に起因する毒性から細胞を守る、細胞の防御機構の一つである。これまでに我々は、高等生物におけるNMDの分子機構の解明を通じて、NMD阻害を特異的に阻害する系を始めて開発し、NMDの生理機能やその操作の応用可能性を検証することが可能となってきた。本研究では、これらを利用して、NMDの操作が、医学・医療面でどのような応用可能性を有するかを探る事を目的とした。 具体的には、NMDを阻害する方法として、既に見いだしたWortmannnin及びCaffeinというhSMG-1というNMDに必須の酵素の阻害薬に加え、hSMG-1の発現を抑制するsiRNA配列を検索、同定してこれらを用いた。これらを用いて、collagen type VIα2遺伝子に異常を有する、Ullrich型筋ジストロフィー症の患者由来の線維芽細胞をモデル系として用い、まず、を通常NMD系によりそのmRNAが分解排除されているために合成されていない、トランケート型の異常タンパク質を発現誘導することを確認した。興味深いことに、この例ではα2鎖の合成異常によりcollagen type VIトリプルヘリックス全体の合成・分泌、細胞外基質への取り込み、細胞接着能発揮、などが異常となっているが、NMDを阻害すると、これら全てに改善が見られた。つまり、本症例においては、NMDは疾患症状の増悪に関わっている事が始めて示された。さらに、NMDを阻害する事により疾患症状を改善できるケースがあることを始めて明らかとした。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)