Project/Area Number |
15659364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森本 裕二 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00250457)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 全身麻酔の機序 / イソフルラン / セボフルラン / 超短パルスレーザー / 単層脂質幕 / 膜脂質流動性 / DPPC(Dipalmitoyl-L-α-Phosphatidylcholine) / 細胞膜 / 赤血球膜脂質 |
Research Abstract |
吸入麻酔薬の作用機序は、これまで色々な角度から検討されてきたにもかかわらず、未だ確定していない。超短パルスレーザーによる細胞膜の動的構造変化の解析は物理化学的手法の中でも高感度で、かつ生理学的条件に近い環境で測定できる方法であるが、これを用いて吸入麻酔薬の作用機序を検討した報告は内外に見あたらない。私たちはこの方法を用い、吸入麻酔薬の生体膜脂質に対する影響を検討した。平成15年度は、生体膜としてヒト赤血球膜脂質を採用し,セボフルラン濃度5%に対する膜脂質流動性変化でも、温度がわずか2℃上昇した時と等価であり、その変化は極めて小さいという結論を得た。平成16年度はセボフルレンとイソフルレンの人工脂質膜に対する影響について調べた。 【方法】DPPC(Dipalmitoyl-L-α-Phosphatidylcholine)で単層脂質膜を作製した。吸入麻酔薬セボフルレンとイソフルレン溶解液はそれぞれ0.1,0.2,0.5,1,2,4mMに調製した。ガスクロマトグラフィで測定した溶解液の麻酔薬含有量はセボフルレン溶液では0.1mM≒0.7MAC,0.5mM≒2.8MAC、イソフルレン溶液ではそれぞれ0.5MACと2MACであった。脂質膜の粘性変化は蛍光偏光解消法により蛍光異光度を測定することで相転移温度を算出し評価した。 【結果】麻酔薬未投与の場合、相転移温度は42℃であったのに対して、濃度が0.2mM以下の場合もほぼ同じく42℃と有意な変化を認めなかった。0.5mM以上ではじめて約2℃低くなり、相転移温度が40℃前後に低下した。 【考察】臨床濃度(〜2MAC)での脂質膜流動性の変化は少なく、臨床濃度を超えた濃度ではじめて流動性亢進(粘性低下)が認められた。以上より、臨床濃度の吸入麻酔薬の膜脂質に対する影響は極めて小さく、作用機序としての膜脂質の可能性は小さいと考えられた。
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