Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
従来,マルチファクターモデルでは,説明変量にかかる回帰係数行列は,時刻に依存しない定数行列で与えられることが普通であった。また,確率的に変動する誤差項のモデルとしては,互いに独立で同一な確率分布にしたがう確率変数が仮定されていた.こうした先行研究の仮定を踏まえて,実際のデータを使ってモデルの回帰係数行列を時刻に依存しない定数行列にとることができるか否かを実証的に確かめること.また,回帰係数行列を定数行列にとることができなかった場合,確率的に変動する誤差のモデルとして長期記憶姓をもった確率変数を選んだ場合の,修正版マルチファクターモデルを構築することの2つが本研究の目的であった. 実際に東証一部上場企業の中から産業別に企業を複数抽出し,その日経平均を1つのファクターに,もう一つのファクターとして円対ドルの為替レートを選び,同じ企業の異なる年次のデータを使って2つのマルチファクターモデルを組み,回帰係数行列を求めた.2つのモデルの回帰係数行列を比較すると,両者は同じようには見えない,つまり,時刻に依存しないという仮定は必ずしも支持できないという結論に至った.東証一部上場企業を一括して扱わずに,産業別に個々に見た場合では状況は異なる可能性もあったので,これについても調べてみたが,回帰係数行列は時刻に依存すると判断できる,日本のバブル経済とその破綻,アメリカ経済のITバブルとその破綻,アジア通貨危機,中国の台頭といった経済・社会状況が,インターネットに代表される通信技術の急速な進展によって逐一かつ瞬時に株価に反映されるようになり,回帰係数行列を時刻とは無関係に選ぶことが難しくなっていると思われる. そこで,時刻への依存性を長期記憶性をもつ確率過程を使ってモデル化することを試みた.パラメータの設定次第で挙動を比較的簡単に制御できるfractional Brownian motionを使ってモデル化を進めているが,これについては,目下のところ,まだ整理された結果を出すには至っていない。
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